東京地方裁判所 昭和47年(特わ)1543号 判決 1973年3月20日
被告人
1
本店所在地 東京都目黒区中央町二丁目三七番七号
法人名
ライン精機株式会社
代表者名
代表取締役 大藪鉱市
2
本籍 愛知県犬山市大字犬山字南古券七四番地
住居
東京都世田谷区等々力四丁目一五番九号
職業
会社役員
氏名
大藪鉱市
生年月日
大正一〇年六月二六日生
被告事件
1、2とも法人税法違反
出席検察官
三ツ木健益
主文
1 被告人ライン精機株式会社を罰金七〇〇万円に、被告人大藪鉱市を懲役五月に、それぞれ処する。
2 被告人大藪鉱市に対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人ライン精機株式会社は、東京都目黒区中央町二丁目三七番七号に本店を置き、各種計量器の製造販売等を目的とする資本金二八〇〇万円の株式会社、被告人大藪鉱市は被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人大藪は被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入を計上して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四三年一〇月一日から同四四年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第一記載のとおり九、五七三万九、二五二円あつたのにかかわらず、同年一二月一日東京都目黒区中目黒五丁目二七番一六号所在所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、七六九万二、七六四円でこれに対する法人税額が一、二〇七万一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三、二三八万一、九〇〇円と右申告税額との差額二、〇三一万〇三〇〇円を法定納期限までに納付せず、
第二、昭和四四年一〇月一日から同四五年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第二記載のとおり六二五四万八七七九円あつたのにかかわらず、同年一一月二八日前記目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三八三三万三八七二円でこれに対する法人税額が一二六五万六二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二一五四万九二〇〇円と右申告税額との差額八八九万三〇〇〇円を法定の納期限までに納付せず、
もつて、いずれも右不正の行為により右各差額の法人税をほ脱したものである(右各年度の法人税額の算定は別紙第三記載のとおり)。
(証拠の標目)
1 大蔵事務官中村直記作成の調査書一〇通
2 鈴木康二に対する大蔵事務官の質問てん末書二通ならびに同人の検察官に対する供述調書
3 古川義松(四通)、田中克男に対する大蔵事務官の各質問てん末書
4 金融機関作成の証明書一〇通
5 古川義松(一〇通)、三宅光広各作成名義の上申書
6 大蔵事務官佐藤重雄作成の検査てん末書
7 目黒税務署長作成名義の証明書
8 押収してある次の証拠物(いずれも昭和48年押第160号でかつこ内はその符号を示す)
確定申告書二綴(1、2)、総勘定元帳二冊(3、4)、先入先元帳一冊(5)、決算報告書綴一綴(6)、決算書類綴二冊(7、8)、経費明細帳三冊(9ないし11)、手形受払帳一冊(12)、伝票綴二綴(13、14)、在庫受払帳一冊(15)、資産明細ノート一冊(16)、棚卸表一綴(17)、在庫帳三〇冊(18)、入出庫帳二五冊(19)、製品受払簿等一袋(20)、製品受払簿四冊(21ないし24)、決算在庫表一綴(25)、現物在庫表一綴(26)、手帳一冊(27)、支払手形控綴一綴(28)、売掛帳二綴(29、30)
9 被告人大藪鉱市作成名義の上申書
10 被告人大藪鉱市に対する大蔵事務官の質問てん末書八通ならびに同被告人の検察官に対する供述調書二通
11 被告人大藪鉱市の当公判廷における供述
(法令の適用)
1 被告人会社の判示各所為につき 法人税法一五九条、一六四条一項
2 被告人大藪の判示各所為につき 同法一五九条(懲役刑選択)
3 併合加重
被告人会社につき 刑法四五条前段、四八条二項
被告人大藪につき 同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)
4 執行猶予
被告人大藪につき 刑法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 池田真一)
別紙第一
修正損益計算書
ライン精機株式会社
自昭和43年10月1日
至昭和44年9月30日
<省略>
<省略>
別紙第二
修正損益計算書
ライン精機株式会社
自昭和44年10月1日
至昭和45年9月30日
<省略>
<省略>
別紙第三
法人税額計算書
ライン精機株式会社
1. 昭和44年9月期
<省略>
2. 昭和45年9月期
<省略>